活動情報
日にち2023年06月27日

福岡県教育総合研究所からのお知らせ

新谷恭明教育総研からのメッセージ

みなさん、こんにちは。福岡県教育総合研究所です。6月1日を待ちきれず「教育総研ニュース」電子版の発信です。(システム運用上の理由ですが・・・)とても忙しい毎日ですが、ほっと一息入れる時間のお供にどうぞ!新鮮な情報と、ちょこっと元気をお送りできるコンパクトで中味ゆたかなニュースを目標に、これから時々お届けします。おつきあいよろしくお願いします。それでは引き続き、「ここらでいっぷく」(教育総研ニュース)をどうぞ!

ここらでいっぷく―教育総研ニュース29―

校則を生徒に決めさせてはいけない

     新谷恭明(元西南女学院大学・教育総研所長)

 おかしな校則が問題視されているのは承知のことと思います。そして文部科学省が今度改定する『生徒指導提要』にはその見直しをするようにということが書き込まれる予定です。もとより、校則を決める権限は学校運営の責任者である校長にあるというのが文部科学省の理解ですし、法的にはその通りなのです。

 ところが、あまりに時代錯誤的であったり、教育の目的にそぐわないものがあったりするので「絶えず見直しを行うこと」を今度の『生徒指導提要』には書き込むようですし、その際、「見直しの過程に児童生徒自身が参画すること」を推奨しています。一見民主的な方法に見えますが、校長にその権限がある限り、それは民主的とは言えません。  

 児童生徒に責任を参加させ、決定権は校長にある。そして、「自分たちで決めたのだから、ちゃんと守れよ」と自己責任であるかのように校則への忠誠を押し付けるのは児童生徒にまちがった民主主義を植え付けるものでしかありません。

これは拙著『校則なんて大嫌い!』(福岡県人権研究所 2022)にも書きましたが、校則を決めるに際して、児童生徒を参加させるというのは「囚人に刑務所の管理規則を作らせるようなもので、管理されることを前提に正しい囚人のあり方を学ばせようとしている」ことと変わりません。

 善良な子どもたちはどうやって悪いお友だちを取り締まるかについてきっといいアイディアを出してくれるでしょう。そして、「自分たちで決めたルールなんだから守るのが当然だろう」と校則をさらに権威づけすることになってしまいます。

 これは人を欺すときに使うかなりあくどい手口の一つです。小さな文字で契約内容をつくり、最後に「何かあったときはご自身の責任です」と書いてあるよくあるナニによく似ているでしょう。だから、私たちはそうした契約はきちんと最後まで読んでから判断しましょうと子どもたちには教育するはずですね。そういった手口を教育の場で活用するのは絶対にまずい。

「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」(教育基本法)を職務とする教師としてやってはいけないことだからです。

 また、「社会規範の遵守について適切な指導を行うことは重要」(『生徒指導提要(案)』)なのだと文部科学省は見ているようです。ならば社会規範を学校に適用すればいいことで、特定の学校内でしか通用しない規則は意味がないでしょう。まずはふつうの「社会規範」に則った学校生活を送ることから始めればいいことなのです。ではどうすべきなのか。校則を決める権限は校長にあります。校長が教育的配慮で、校則を廃止すれば何の問題もありません。校長にそういう決断をさせるのが民主的な学校の教職員なのです。

 

 

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